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                                      海外山行
 

中国陜西省・華山 2012年5月17日~18日( T. H. )  参加者11人

   日本に富士あり、中国に華山あり、と聞かされたのは10年も前のことだ。日本では無名に近い山だが、奇険天下第一山、断崖絶壁の山だという。何年か経ち、華山の長空桟道がテレビ放映された。曰く、華山は中国五大名山の一つで仙人修行の霊峰、断崖絶壁に板を渡した道を長空桟道という。
  その後、たまたま仕事で訪中した際、華山の資料を探してみたが、中国では未だ登山が一般化しておらず、期待していたような地図や書籍はなかった。

  日本のツアー登山会社を調べると毎日新聞旅行が華山山行を催行していた。ただし、長空桟道やヨウ子翻身(ようしほんしん)などの難所を歩いた経験はないとのこと。とりあえず、頂上に1泊し、2日間の山行をセットしてもらうことにして、あとはネットを中国につなぎ、乏しい現地情報を補った。

  華山十大難所のうち、ハーネスをつけセルフビレーしながら歩く場所は2カ所だけ。あとは垂直に近い階段だが鎖がしっかり垂れている。上がって来れなかったら、ロープで引っ張りあげれば何とかなる。ところがである、心配していたのは小生だけ。さすが「みろく」のメンバー達、足下は1,000mの断崖だというのに余裕、余裕で楽しそうに歓声を上げていた。

  今山行では、東西南北の各峰に登頂できただけでなく、長空桟道、ヨウ子翻身、雲梯、蒼龍嶺、上天梯、老君犁溝、百尺峡の七つの難所を歩くことができた。

  国共内戦では共産軍の猛攻にも難攻不落を誇った山らしいが、今や北峰近くまでロープウエイが架けられ、中国全土から押し寄せた観光客は革靴やスカート姿でロープウエイ駅やその周辺を闊歩し、押し合いへし合い、記念撮影もままならない。中国の人の声の大きさ、テンションの高さ、そしてパワーに感心した山行でもあった。
華山全景 華山南峰にて

   ヨウ子翻身  2012/5/17  ( Y. S. )
  
  宿泊するホテルで荷物を軽くして、崋山巡りをする。東峰近くにあるホテルからは、「下棋亭」(宋の皇帝と仙人が華山を賭けて将棋を指したとされる場所)が眼下に見える。華山十大難所の一つである、ヨウ子翻身を降りなければ、そこに行けない。

  30元で借りたチェストハーネス(持参したハーネスを付ける人もいた)には、2本のスリングの先にカラビナが付いている。カラビナを、岩壁に固定されたワイヤーに掛ける。支点では、一本ずつ掛け直す。岩には深い足掛かりが掘られているので、垂直の梯子を降りる感覚だ。10m程下ると、右へ斜行する、それを降りきると、数人が立てる場所に着く。さらに左に行くと水平の道に出る。垂直壁と水平道がタカ(鷹)が飛翔する軌跡のイメージだ。

  絶壁の上に建つ「下棋亭」に着くと、石造りの将棋盤が置いてある。同じルートを戻るが、下降する人が大胆なポーズで記念写真を撮るので、渋滞する。
ヨウ子翻身 ヨウ子翻身
    

   天空の散歩「長空桟道」 2012/5/17  ( I. Y. )

  それは崋山最高峰の南峰2154m直下の絶壁に架かる幅20㎝の板道。山行前には画像や名前から想像し、誰もが恐怖感を懐いていた。

  20m程の急下降から始まったが、登る人との交差でままならない。ようやく下降点に達し、いよいよ水平移動、水平に張られたワイヤにカラビナ2個をかけ鎖を頼りに蟹の横這い。高度間は満点ながら、意外と快適。すぐに「気持ちいい」「疲れが飛んでく」との歓声が飛ぶ。直前の鷂子翻身の体験が功を奏したようで、緊張感もほぐれ笑顔がほころぶ。すれ違いも上下2本のワイヤを使い分け、難なく交わす。ところが、どこまで続くのかと思った矢先、終点の仙人修行の祠に達してしまった。想像より短かったのだ。多少物足りなさを感じたものの往路を引き返し、無事帰還一同大満足。ややあっけなくも楽しいD山行でした。

  今回の山行は現地情報が乏しい中、最大限の情報を収集し、ただ一人中国語を操るCLの存在は頼もしい限りであった。謝謝。
セ長空桟道

   雲梯と蒼龍嶺 2012/5/17  ( O. E. )

  雲梯の高さは10メートルでほぼ垂直な階段。これを見て「荷物はあるし、私は別の鉄の階段の方にします」と言うとSLが「せっかく来たのだから行こうよ!」「左がいいよ」「安定しているそこで良いよ」など指導してくれ一緒に通過できた。

  蒼龍嶺は形が龍の背に似ているのでこの名前がついた。唐の文士が後を振り向きあまりの恐ろしさに死を覚悟し、遺書を書いて山の下に投げたら弟子がそれを見てお酒を飲ませて担いで降りた伝説の場所。

  全長1500m・石段246段。険しい道が続く。荷揚げをする多くの人達と出会った。天秤棒で建築資材・食料を持っている。それを見て、自分だけの荷物で歩ける事に感謝した。気の抜けない場所が多く、クライミングで多くの方から教えていただいた足で登る事を実践できて良かった。要所ではCL・SLの的確な指示を受け、珍しい景観をたっぷり楽しむ事ができた。この山行に参加できた事に本当に感謝しています。
 雲梯  蒼龍嶺
   

  老君犁溝~百尺峡 2012/5/18  (W. K.)

  登山者の多い北峰近く、昨日玉泉院より登る予定だった稜線の記念亭に10時30分着。

  水だけを持ち30分コースを降りてみる。すぐに急階段を下る、下る。振り返ると大きな岩に老君犁溝と老子が作ったといわれる道である。茶屋の人に百尺峡はと、すぐそこと指さす大国のそこはあてにならないと思いつつも又下る。

  百尺峡の案内板、老君犁溝より急な鎖の着いた階段が二道、気をつけながら下ること稜線より30分、一休みしながら登山口方面を覗くと渓谷沿いに階段が延々と、山も花崗岩の白い険峰が幾重にも続いている。景色を堪能して登り始める。こちらの登山道は長くきついため人影も少なく静かな道である(今はほとんどの登山者がロープウエイを利用)。ここ2,3年内に西峰直下にもロープウエイが設置とか、余り歓迎したくない。そんなことを考えながら老子に思いを馳せ花を横目で見ながら登る登る。リーダーのゆっくりした足取りに助けられこれが登れなければ次の山はない・・・
楽しいけどキツーイ!
 
 百尺峡  ロープウェイ 
  

                                      

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