日本横断夢の縦走パート2 ⑧ 木曽駒ケ岳~北沢峠

(2011.7.14-7.18 歩行距離 72.4km)

 中央アルプスの木曽駒ケ岳・空木岳を縦走し、炎天下の高遠・北沢峠を歩き遂に北アルプス・中央アルプス・南アルプスと繋ぐことが出来た。
参加メンバ-

隊長の坪井
ジャンボ高橋
一寸待っての坂本
テント師範の左光
心配性のマリア
最年少の鶴飼
いぶし銀の関
2011年の長島
(以上8名、敬称略)






7月14日       八王子駅~塩尻駅

 八王子駅④ホームに集合、21時33分発あずさ35号に指定席、自由席に別れて乗車、隊長は山靴を脱いでザックに収い、サンダル履きでリラックスしている、23時45分塩尻駅着、駅前のステーションホテル別館に行く、5年前にも利用した懐かしい施設である、マリアが楽しみにしていて友達にも吹聴したと云う、バスの待合所なのであるが、雨風が凌げベッド(ベンチ)が3台ある、30m程離れて交番もあり治安も申し分なし、女性3人はベッドに男性5人は床に寝場所を決める、隊長は蚊取りを吊るしエアマットを敷きさっさと横になる、脇のベッドからマリアが転げ落ちないか少し気になる。
                                                                    


















7月15日      塩尻駅―原野駅・・木曽駒ケ岳
            行動   10時間(歩行距離 16.7km)
            朝食   行動食
            夕食   鰻御飯、スープ    

 明方、貨車の連結音が大きく響く、4時を回ると明るくなり起き出す、4時45分にはチエックアウト、5年前優雅に朝食を摂った花のきれいな公園は無い、各々ベンチで行動食を摂る、マリアは行動中に人に聞かれると説明が難しいので、団扇に日本横断の概略図が貼り付けてあり、それを見せるのだと言う、今回久し振りに参加の坂本も、マリアを真似た団扇を持って来て自慢している。









 始発電車で原野駅まで行き、そこから歩き出す、朝からカンカン照りである、舗装道路を2時間30分で木曽駒登山口のスキー場である、ここからは山道だ。


















 皆の足取りが重い、寝不足と暑さに慣れていないせいか、団扇をバタバタさせて歩く、坂本が団扇をステーションホテルに忘れて来たと騒いでいる。

 4合半の力水で一休み、ここの水は冷たく美味しい、先頭のジャンボ、2番手の長島は元気だ、久し振りに参加の坂本も頑張っている、ジャンボは先日娘さんと富士山へ登ったので、高所トレーニングが効いている様である、2011年の長島は昨年の反省から、荷を背負ってのトレーニングに励んでいる、坂本も長期出張先の韓国で無為に過ごしてはいなかった様である。
 残る5人の歩みは重い、前を歩く左光が石の上をバックする、思わず隊長は彼女のお尻を押してしまう役得にあり付く、この後左光は珍しく足を滑らせ片足を藪に突っ込む、疲れているのだ、先頭を行くジャンボに休む様に声を掛けてもナカナカ停まらない、10分も歩いてやっと休憩となる、適地を探していたと言う、 ムー・・・・・
 やっと駒ケ岳頂上山荘らしいのが見えて来る、あと僅かなのであるが座り込んでしまう、マリアは止まらない、テントの受付をして来ると言う、すると左光、鶴飼も一緒に歩き出す、休憩しているのは男性5人である、 ムー・・・・・・・
 マリアの報告でテント場はもっと先であると言う、頂きを越えると目指す山荘に着く、
テントを張り、会計のマリアは受付へ、残りは水汲みである。



















 マリアが戻りビールは常温であると言う、「常温のビールじゃ仕様がないなー」等と言っていると、「そこに雪があるー !」マリアが叫ぶ、見るとテント場の下の方に小さな雪渓がある、鶴飼が皆の注文を聞いて買って来たロング缶6本を雪に埋める、この頃から陽が落ち、風が出て急に寒くなる、ビールを飲み出すのであるが、皆1本のビールを持て余している。
 関が石を積んで風除けを作り左光が飯を炊く、申し訳ない事であるが左光を残して全員テントに入る、やはり中は暖かい、飯が炊ける、満点の出来である、暖かい御飯に「鰻丼の素」を載せていただく、まずまずの味であったが隊長は秘かに、今度は自分が食当をして本物の鰻丼を作ってやろう等と思っている。
 鶴飼の様子がおかしい、ビールも要らない、ご飯も要らない、このまま寝たいと言う、彼女は寒さに弱く、普段でもこの様な状態になる事があると言う、隊長は違うメンバーで何度かこんな場面を見ており、少し心配ではあるが明日御飯が食べられたら大丈夫だと思っている、隊長と関が両端にマリアと鶴飼を間にして寝る。

【原野駅7:44 木曽駒登山口9:56 木曽駒ケ岳17:20 駒ケ岳頂上山荘テント場17:45】

7月16日      駒ケ岳頂上山荘~駒峰ヒュッテ
            行動   11時間15分(歩行距離 10.6km)
            朝食   オニオンスープ雑炊
            夕食   カレー、スープ

 3時起床、朝食は昨日の残り御飯に、缶詰のオ二オンスープを入れた雑炊である、味はどうも今一である、鶴飼は元気になり昨日食べなかった「鰻丼もどき」を平らげる。
 パッキングをして外に出ると満月である、駒ケ岳の山頂でご来光を待っている人が何人かいる、テントサイトから見ると満月の中に人がうごめいて見える。
 4時20分出発、宝剣岳の登りは急である、1ピッチだけマリアに先頭で登ってもらう、極楽平に着く、どうと云う事も無い所であるが、左光はしらび平からロープウエイで千畳敷に登り、そこから稜線までのお花畑が極楽のようなのだと言う。






































 展望の良い稜線歩きは縦走の華である、檜尾岳では遠く北に槍ヶ岳が見える、東には南アルプスが連なっている、西には御嶽山が重厚な姿を見せている、北東に見えるのは八ヶ岳か。


























 木曽殿越で木曽義仲の力水を汲む、小屋から往復20分弱である、ここからコースタイム1時間30分の空木岳を登り、さらに3時間先の池山小屋まで行くとすれば、今日の行動水を含め1人最低2.5~3ℓ必要である、眼の前に空木岳への急登が立ちはだかっている、とてもそんなに背負えない、皆に聞くと1ℓがやっとだと言う、とにかく1ℓ背負って登り出す、疲れた体に新たな荷重はずっしりと重い、先頭を行く隊長の後ろで2番手のマリアの荒い息使い、振り返ると左光が苦しい時に見せる半泣き顔が・・・・・
 ゆっくり、ゆっくりだ、20分毎に取っていた1本を15分毎に、最後は10分毎にする。

 15時15分やっと空木岳頂上である、1時間30分のコースタイムを2時間5分掛かった、木曽駒ケ岳~空木岳の縦走は思いのほかハードであった、皆良く歩いたと思う、百名山を目指すジャンボは99座達成、左光は98座達成である。




















 ここで作戦会議、この先3時間の池山小屋は無理、30分の空木平避難小屋にしようかと話していると、ジャンボから建設的な提案がある、直ぐ眼の前の駒峰ヒュッテに3500円で素泊り出来る、水もビールもあると言う、 ムー・・・・・
 まあ皆疲れているし、とか何だかんだと言って駒峰ヒュッテに決まる。
 ヒュッテは大入りである、マリアが受付をして指定された場所に銀マットを敷き、寝場所を確保する、隊長は蚊取りを吊るし、窓際の虫を徹底的に叩き潰している、小屋は後から後から人が来て超満員となる、入口のたたきに足を出して寝ている人もいる。
















【駒ケ岳頂上山荘テント場4:20 宝剣岳5:05 檜尾岳8:50 木曽殿山荘12:32 空木岳15:16 駒峰ヒュッテ15:33】


7月17日      駒峰ヒュッテ~仙流荘
            行動   9時間(歩行距離 28.5km)
            朝食   豚骨ラーメン
            夕食   梅しそ御飯、スープ 

 3時30分起床なのであるが、坂本は3時から起きてゴソゴソ支度をしている、朝食の豚骨ラーメンは不味くはないが、朝からには今一であった。
 パッキングを終え次々と外に出る、坂本は最後に出て来る。
 4時35分出発、大地獄、小地獄の鎖場も難なくクリア、マリアも全然危なげ無し、やはり不帰ノ険を経験した事が自信になっている。

















 池山小屋の水場は冷たくは無いが量は豊富である、駒ヶ根高原スキー場から別荘地を経て駒ヶ根駅に着く、駅前のスーパーで各自サンドイッチ、牛乳等を買い昼食、ジャンボタクシーで高遠に移動、車内で明日の予定である仙流荘~茅野駅までの交渉をする、通常車は15000円でジャンボなら17000円位と言っていたが、無線連絡をしてから20000円と言い出したので交渉を止める、高遠のタクシー会社と交渉、19000円でOKとなる。
 高遠より仙流荘目指して歩き出す、猛烈に暑い、気温もさることながら舗装道路の
照り返しがキツイ、体感温度は40度近いのではなかろうか、美和湖を右に見て、152号線を南下、団扇をバタバタさせてひたすら歩く、道の駅で一休み、思い思いにカキ氷、アイス等を食べ生き返る



















  3時間歩き仙流荘に着く、隊長は5年前に使った別館を探す、 あった! 10畳程の広さのプレハブ小屋で、畳が敷いてありマットレス、枕、電気もある、外には洗い場があり、テーブルも置いてある、トイレ、売店は徒歩1分、あまり他人には教えたくないのであるが無料である。
 本館前で待っていた皆を呼び荷を入れる、全部網戸にして蚊取りを吊るす、まだ3時を過ぎたばかりなので相当に暑い、バスの
待合所に行きビールでくつろいでいるが、5時過ぎには待合所も閉まる、ジャンボ、長島、坂本の3人は眼の前の川へ水浴びに行く、1時間程で戻って来た3人は喜色満面である、スッポンポンになって水浴びをして、パンツを洗って暑くなった石の上で乾かして来たと言う、長島は「少年に戻って来ました、左光さんも少女に戻ったら?」等と言い、きっぱり断られている。
 外のテーブルでの夕食、梅しそ御飯はなかなか美味しい、鶴飼は参謀の三枝子に習ったと言う。


















【駒峰ヒュッテ4:35 池山小屋7:38 駒ヶ根駅10:30=高遠12:10 
仙流荘15:16】

7月18日      仙流荘―北沢峠・・仙流荘
            行動   5時間55分(歩行距離 16.6km)
            朝食   野菜そば


4時起床、朝食は蕎麦に乾燥野菜を入れたものだ、なかなか美味い、パッキングをして部屋の掃除、2000円の寸志を箱に入れ外に出る、この別館は本当にありがたい、お世話になりました。                               
 村営バスの始発は6:05なのであるが、客が多いと増便を早く出すと云う、5時頃バス停に行くと10人以上が並んでいる、5:45増便が出発、北沢峠までは小1時間である、左手前方に鋸岳が見えて来る頃、女子サッカー世界大会でなでしこジャパン優勝の報せが入る、 やったー 世界の強豪を相手に良く勝ったものである、拍手が沸きあがる。





 北沢峠に着きストレッチ、あとはゾロゾロと来た道を還る、何だか冴えない、少し歩いて太平山荘の向かいで樹林帯の中の登山道を下る、暫くして河原歩きとなり渡渉がある、ジャンボは下流に、隊長は上流に渡渉地点を探す、隊長は流木を4本程渡してある場所を見つけて皆を呼ぶ、更に5本程で補強する、心配性のマリアは自分でも長い流木を見つけて引きずって来る、まず隊長が四つん這いで渡る、面白い! 続いて関、左光と渡る、左光は少しぎこちない、鶴飼、マリアと無事渡り終える、マリアが一番スムーズであった。
 ジャンボと坂本は下流を靴を脱いで渡った、川底がヌルヌルして滑りそうであったと言う、河原のゴロタ石の上を歩く、どうもマリアの歩き方が変だ、棒を拾って杖にしている、聞くとマメが出来ていると言う。





 登山口ゲートに着く、ここからは舗装道路である、マリアは登山靴をサンダルに履き替え、鼻緒の当たる親指と人差し指の間を、ガムテープで補強する、今度は見違える様にスタスタ歩く、12:20仙流荘に着く、当初12時に予約していたタクシーは、2時に変更したのでゆっくり温泉に入る、軽く反省会をしてタクシーで茅野駅へ行く。
 これで北アルプス・中央アルプスとその間の一般道も歩き南アルプスへ足がかりを付けた、次回からは南アルプスを歩ける、一人12100円の清算をして解散となる。




【北沢峠6:45 戸台大橋11:32 仙流荘12:20】