日本横断夢の縦走パート2 ④ 烏帽子小屋~槍ヶ岳~上高地
  
(2010.10.8-12 歩行距離 49.4km)

雨にたたられ停滞を余儀なくされる等、苦戦をするが最高の天気に槍ヶ岳登頂を果たす、
左光、鶴飼、坂本、長島の4人は初めて、百名山を目指す左光に至っては、水晶岳、鷲羽岳、槍ヶ岳と百名山を3座も登る荒稼ぎ山行となる。

参加メンバ-

隊長の坪井
一寸待っての坂本
ジャンボ高橋
テント師範の左光
最年少の鶴飼
教育係の関
新人の長島
(以上7人、敬称略)



10月8日      高瀬ダム~烏帽子小屋
            行動   3時間25分(歩行距離 5.1km)





夕食  五目寿司、切干大根の煮物、
   マッシュポテト、松茸の吸い物




7:50八王子駅④ホ-ム集合、残念ながらマリアは来られない、昨夜電話があり、風邪で熱が出ているとの事である。 
 8:03発のス-パ-あずさ3号、今日は平日の為か自由席に十分座る事が出来る、この電車は松本で乗換えること無しに、信濃大町まで行けるのである。
 信濃大町から予約していたタクシ-2台に分乗し高瀬ダムへ、ストレッチ、気合入れをして坂本を先頭に出発する、不動沢トンネルを抜け、吊橋を渡る、前回カモシカの親子に会った河原を進み登山口に取り付く、いきなり急登である、1回目の休憩時にどうも少し苦しそうな左光から、隊長は無理やり共同食(約700g)を受取る、左光は背中の調子が悪く、通院しているのである、たったこれだけの減なのであるが、この先左光は見違える様にしっかり歩く、自分の限度ギリギリを背負っている時は、僅かな荷の増減が思いの外効くものである。
 大岩の権太落トシを過ぎ、燕岳の合戦尾根、笠ヶ岳の笠新道と並び、北アルプスの3大急登のブナ立尾根を黙々と登る、と 山行記に話題提供常連の長島が動かなくなる、バテである、荷を背負っての急登が苦手だと云う(誰だってそうだ)、ジャンボが共同食、坂本がコッヘル、隊長がポ-ルと分担する。



 烏帽子小屋に着く、小屋の主人から「今回マリアさんは?」と聞かれる、マリアは人気者なのである、テント場は小屋から5分程離れた場所である、テント設営後、小屋の自炊用食堂でお湯を沸かしティ-タイム。
 夕食は五目寿司である、飯は長島が炊く、少し芯がある、80点の出来か、マッシュポテトは美味い、お吸い物には松茸(と思うのであるが)が2切れも入っている、
 明日不惑の誕生日を迎える鶴飼の為、食当のマリアと関が用意したバ-スデ-ケ-キが出される、ロ-ソクに火を灯し、ハッピィバ-スデ-を歌う、いつもアッケラカンとしている鶴飼の眼に涙が・・・・・
 夜雨となる。




高瀬ダム11:55 烏帽子小屋15:30



10月9日       烏帽子小屋~三俣山荘
            行動   8時間55分(歩行距離 13.0km)
  




 朝食   にゆう麺、餅




    







夕食   麻婆なす丼、切干大根の煮物、ふかひれス-プ



 朝食初登場のアマノフ-ズのにゅう麺は美味しいのであるが麺が少ない、昨夜からの雨は止まず、今朝は小雨、霧、風もある、ぐしょ濡れのテントを畳んで撤収、カッパを着て歩き出す、三ッ岳への道は白い砂礫にハイマツが映える、本来展望の楽しめる裏銀座縦走コ-スの稜線歩きなのであるが、霧ため展望は全くなし、ヒタスラ歩く。
野口五郎小屋は5年前同様に閉まったままである、風が強くなる、東沢乗越から赤い砂礫の道を登ると水晶小屋である、閉まっている小屋の脇で風を避け1本、日本横断の縦走路はここから鷲羽岳へ南下するのであるが、百名山を目指している左光は、ここから往復70分のコ-スタイムである水晶岳(2977m)へ何とかして行きたい、他日を期すと2泊3日の行程で改めて挑まなければならない、昨日は一緒に行くと云っていたジャンボや関も、今日の風の強さに閉口してか知らん顔をしている、裏切られた思いで傷心の左光は隊長の顔をじっと見る、こういう状況に弱い隊長は止む無く同行を申し出る、と  長島が自分も行きたいと言う、 ム-・・・・・
長島では左光をカバ-する事にならず、むしろ隊長の心配が一つ増えるだけなのであるが、当人は全々気にしていない。
とまれ隊長、左光、長島の3人は空身で水晶岳へ向い、残りの4人は三俣山荘を目指す。
 風が益々強まる、3人は空身の為か飛ばされそうになる、左光も長島も隊長は引き返すと思ったと言う、時に耐風姿勢を取りながら、飛ぶように歩く、岩稜に付いたペンキ印を辿り山頂に着く、別名黒岳とも云われ、実際に水晶が採れたと云う、晴れていれば槍ヶ岳、穂高の展望が素晴しい場所である、左光の登頂証拠写真を撮るや直ちに下山、水晶小屋まで往復70分丁度のアルバイトであった、このコ-スタイムは少しおかしいと思う、荷を背負っていたら少なくても90分は掛かると思う。
 一息入れるや荷を背負い、4人の後を追い三俣山荘を目指す、ワリモ乗越のあたりで丸々と太った雷鳥を3羽を見る、白い冬毛が混じっている、雷鳥を見ると雨が降ると云われるが、天候の悪い時は天敵である鷹などの猛禽類が、上空にいないので雷鳥は安心して活動するのだと云う。
 霧が深い、見通しが悪いと、間違ってはいないと思うもののやはり気になる、行く手左側にワリモ岳の表示、地図を出し方向を確認する、大丈夫この先が鷲羽岳で更に1時間で三俣山荘である。
 岩場を登ると百名山であり、水晶岳と共に黒部川源流の山として知られた鷲羽岳(2924m)である、先発の4人は三俣山荘に着いている頃だ、霧が少し晴れて来る。


しばらく下ると左手前方に、三俣山荘が赤い屋根を見せている、一寸見ると15分もあれば着きそうである、ところがここからが長い、ガレた九十九折りの道を、どんどん下るものの一向に距離が縮まらない、くねくねと下るだけで前に進んでいない感じである、小屋の直前では何と登りまであるではないか、14:25やっと小屋に着く、テント、着衣も濡れている事から今日は小屋への素泊りである。

 スト-ブの燃えている乾燥室の張り綱に、濡れた衣類を掛け、自炊用食堂でお湯を沸かしティ-タイム、ほっとくつろぐ。
 飯炊きは長島が再トライ、満点の出来であった、アマノフ-ズの麻婆茄子も美味しい、切干大根の煮物は、干し海老のダシが効いていて申し分なし、更にふかひれス-プ、燻りがっこ(秋田名物、がっこは漬物の意)が出される、昨夜に欠いていた誕生祝のワインで改めて乾杯。
 夜雨となる、TVの天気予報では、2つ玉の低気圧の影響でかなりの雨模様である、明後日は晴れマ-クである、寝床に入ってから明日の行動についての検討会となる、停滞、雨中決行の両案を検討、結論は明朝の空具合を見てからとする。


 烏帽子小屋5:30 野口五郎岳8:10 水晶小屋10:40 水晶岳11:30
 ワリモ岳13:25 三俣山荘14:25



10月10日      三俣山荘~双六小屋(歩行距離 4.9km)
             行動   3時間
             朝食   さつま汁
             夕食   ご飯、カレ-、高野豆腐の煮物、ス-プ



 4時前に起き乾燥室より衣類を取り出しパッキング、何時でも出発できる態勢である、
乾燥室のスト-ブ稼動時間が短いのか乾燥度が今一である、自炊用食堂でお湯を沸かし、アマノフ-ズのさつま汁を作り、昨夜の残りご飯も入れる、イケル!
 外は小雨、霧、風も強い、予報は雨のち曇りである、鋭意検討の結果、雨が止んだら双六小屋(3時間)まで行き、テントを乾かしてからテント泊と決める。
 8時頃雨が止み、空が明るくなる、8:50出発(9:00出発と言ったのだが皆待ちきれないのである)、ジャンボが昨日の風で帽子を飛ばしたと言う、丁度昨日黒い毛糸の帽子を拾った隊長はジャンボに提供する、これが良く似合う。 5年前より少し大回りして、三俣蓮華岳、双六岳を経由して双六小屋を目指す、双六岳山頂はだだっ広く、霧が濃いと迷う場所である、多数設置されているケルンを目印に進む。









 双六小屋に着く、テント場は広い、まずフライを出し、表、裏とも雑巾、タオルで拭いてから、4人で拡げ陽に当てる、30分程で裏返し、ずぶ濡れのテントも同様に乾し、組み立ててから入り口を大きく開け、石で開口部を固定する。
 テントを乾したまま小屋の食堂で、ラ-メンと缶ビ-ルでくつろぐ、この時、左光は予想外の行動に出る、何と熱燗をグビリと飲り始めたのである・・・・・・・
 ム-・・・・・ やるものである!
テント場に戻るとすっかり乾いている、ありがたい。
夕食はご飯、アマノフ-ズのカレ-、ス-プ、そして干し海老のダシが効いた高野豆腐の煮物は、すっかり横断の定番である、明日の天気を期待してシュラフにもぐる。


 三俣山荘8:50 三俣蓮華岳9:50 双六岳10:05 双六小屋12:00



10月11日       双六小屋~ババ平
             行動   7時間50分(歩行距離 10.8km)
       朝食   ワンタンス-プ、餅
       夕食   カップ麺、行動食


 夜明け前起きると満天の星である、やった-! 今日は晴れだ-!
4:00起床、朝食を摂りパッキング、外に出てフライ、テントを拭いてから撤収、5:30出発。
 砂礫の道を登ると直にモミ沢岳である、槍ヶ岳、穂高が我々を圧倒する、やはり山は天気次第だな-! つくづく思う。
 この先はコ-スタイム5時間の西鎌尾根である、ガレた岩尾根を慎重に行く、見る度に槍のピ-クが近付いて来る、千丈沢乗越からは槍ヶ岳山荘の一部が見える、ここで三俣山荘で会った女性3人組に会う、槍の頂上は誰も居なく絶景であったと言う。
 ザラザラした歩き難い道を一歩一歩登る、遂に平な場所に着く、右へ行き小屋の側に荷を置き、空身で槍ヶ岳の頂上を目指す、遠くから見ると、とても登れるとは思えない槍ヶ岳山頂であるが、近くで見ると鎖、梯子の連続で難しくはない、槍ヶ岳は初めての4人、左光、鶴飼、長島、坂本の順で登頂開始、その後に関、ジャンボ、隊長と続く。 
 長島が梯子は縦の枠を持つのか、横の桟を持つのかと聞く、もう何回も言っている事なので関の小言を食う。
 隊長が最後の梯子に近付くと「ワア-!」と上の方で声が上がる、着いたのだ! 鶴飼は梯子の最後の段を昇るのが惜しい気がしたと言う、左光は百名山を97座達成したと言う。


 頂上は正に絶景であった、遠く北には白馬岳が見える、あのもっと向うの日本海から歩いて来たのである、南には日本の象徴富士山が望まれる、あの向うの太平洋まで歩くんだと思うと気持が高揚する、人間の足は素晴しい、健康である事は有難い。
 社の裏から痩せた北鎌尾根が見える、ジャンボは行って見たいと言う、左光も行きたいと言う、すかさず隊長に「左光は無理」と釘を刺される。
 名残惜しい山頂をゆっくり下る、山荘で夕食用のカップ麺、ビ-ル等を買い、ババ平へ向う、猟師が獲物の皮を剥いだ事に由来する、殺生ヒュッテを通りガレ道を下る、樹林帯に入り流れに沿って進むとババ平である、早速フライ、テントを乾かす、隊長は河原に下り缶ビ-ルを冷やしている。






 乾いたテントを張り、冷えたビ-ルで乾杯、至福のゴ-ルデンタイムである、日本横断も4回目である、今回も良く歩いた。
 1日停滞した為、今日の夕食は特に無い、各自カップ麺、手持ちの行動食などで済ます、
シュラフに入ると今まで気にならなかった瀬音が急に大きく聞こえる。








 双六小屋5:30 モミ沢岳6:05 千丈乗越8:25 槍岳山荘10:35
 槍ヶ岳10:05 殺生ヒュッテ11:30 天狗原分岐12:40
 ババ平13:20



10月12日       ババ平~上高地
             行動   5時間(歩行距離 15.6km)
             朝食   行動食
             昼食   餃子、野菜サラダ、ビ-ル


 4:00起床、5:25出発 梓川に沿って左岸を歩く、途中何度も20cm位の岩魚を見る、程なく横尾キャンプ場である。更に1時間程で徳沢園である、皆で名物のソフトクリ-ム(400円)を食べる、今年1月ここにテントを張り、蝶ヶ岳に行った事が懐かしい、その時左光は何度もギブアップしようと思ったらしい。明神まで下ると俄然観光客が多くなる、今まで会う人毎に挨拶をしていたのであるが、もう挨拶は不要である、10:00上高地バスタ-ミナルに着く、タクシ-の予約は10:30である、ストレッチを終えるとする事がない、10:30丁度に着いたタクシ-から降りたドライバ-は、トイレに行かせて欲しいと言う、 ム-・・・・・
 途中リンゴ園に寄り、松本へ、5年前は駅の近くで公衆浴場に入ったのであるが、今は無いと言う、駅まで徒歩20分の温泉に行き、1時間ゆっくり入る、松本駅まで歩き、駅ビル4階の餃子専門店で反省会、17,000円の清算をして解散する。



ババ平5:25 横尾山荘7:05 徳沢園8:00 明神館9:00 上高地10:00 松本駅 14:40